シャランに会いに…(1) Type7M - No.1
Type7M - No.2
「シャランに会いに、僕は200マイルの旅に出た」と、語り始めると、まるで片岡義男の小説風です。

何のことはない、ヤフオクで落札した車を札幌まで取りに行っただけ。しかし、その過程には、たっぷりと濃い話が詰まっています。

その日もまた、ヤフー・オークションを徘徊していたところ、このシャランに出会いました。安い!しかし、前部を事故っています。写真で見る限り、ボンネットとフェンダーの板金で直りそうな気がしますが、現車を見ないと何とも言えません。このVWシャランという不人気車、その存在を知りませんでした。販売もパッとしなかったらしく、街で見かけることもありません。

出品者に「助手席ドアが事故で押されていませんか?ドアは普通に開閉できますか?」と聞いたところ、「問題はない」との回答でした。この3枚の写真だけで決めるのは無謀のような気がしましたが、気がつくと落札されていました(オイオイ!)
Auction Page

この状態でも、「乗って帰る」ことに心は決まっています。自賠責保険に入り、臨板(臨時運行標=仮ナンバー)を借り、札幌までの都市間バスに乗りこみます。

ひとくちに札幌から網走と言っても、350km以上あります。東京から名古屋までとほぼ同じ距離です。この間を無事ノントラブルで生還できるか…内心ドキドキであります。
「クルマを取りに行く」と言ったら、「おもしろそうだ。オデも一緒に行く」と言ったのは、元アルテッツィストのI氏。早速カメラを持参するように言って、記録係に任命しました。クルマ好きのI氏は、シャランというクルマを知っていました。しかも早速シャランの情報を検索し予習してきました。今回の成り行きにも興味津々。
しかし、職場でこの話をしたところ「無事に帰ってこられるの??」と、さんざん言われたそう。その心配は私も同じです。しかし、楽天家の私は「どうにかなるべや」と、若干の工具、応急用のヘッドランプと配線、臨板、もしもの時の(なぜか)寝袋(しかも自分の分だけ)をデイパックにつめこみ、持参します。

Intercity Bus from Abashiri to Sapporo 最近のバスは乗り心地もよく、調子のいいディーゼルサウンドが眠りを誘います。いすを大きくリクライニングし、I氏とおしゃべりをしながら、バスは目的地へと進みます。なかなか快適、ワクワクドキドキしながらも、ゆったりとした時間です。
「実は、札幌駅から先の、行き方がわからない」と言うと、「ナニー!!」とI氏。そう言いながらも、全くあわてたそぶりがありません。札幌って、「○条△丁目」とX−Y座標のように住所がなっているので、わかりやすいのです。

札幌バスターミナルからI氏の案内通り地下鉄に乗り、さらに路線バスに乗り換えます。北海道の田舎の人間の常で、公共交通機関に乗り慣れていません。路線バスなど乗ったの何年ぶりでしょうか。小銭と料金表を交互に眺め、落ち着かないのです。

一番近いバス停で降りると、道ばたにある住居表示を見ながら、「あっ、こっちの方」「一本こっちの方かな」「あっ、行き過ぎた」など、二人で歩いていきます。直後にやってくるシャランとの出会いに、胸が高まります。「なかなか、程度いいじゃん」かな、それとも「ガッカリ」かなと、不安でもあります。幸いにも天気がよく、春を感じさせる日射しがポカポカと、心地よくあります。びっちりと住宅が建て込んではいるものの、通りの広さに余裕が感じられる札幌らしい町並みです。

いよいよ番地も近くなり、心なしかオークション写真の背景に似てきたと感じたとき…
「おっ、あれじゃないの!」とI氏が叫び、そこにシャランがあったのです。

Type7M AAA - Volkswagen Sharan

Type7M - No.2
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